近所のばね屋さんでは上手くいかない・・・

背景

トーションばねの耐久計算ができない

顧客自らばね設計を行い、普段から取引のある近隣のばね工場に発注し開発を進めていたが、耐久性に問題が生じていた。耐久解析力に限界を感じた顧客は、アドバネクスのWEBばね計算を使用してみたが、思う通りの成果を得ることができずカスタマーサポートセンターへ問い合わせをしてきた。

顧客リクエスト

新製品のジョイスティック用、へたらないトーションばね開発

納得できる耐久性を実現した、トーションばねの設計・開発をしてほしい。

ソリューションと提案

スピーディーな対応力で信頼関係を強化

本製品は、難易度の高い案件であったことから技術者同士直接打合せをしたほうがよいと判断。郡山試作センターの技術者と直接電話による打合せをし、計算上へたらないばねを設計、図面化した。その後、郡山試作センターでNCマルチフォーミングマシンを使用して試作を行った。巻き数を増やすことでへたりを軽減し、微細な角度調整でトルクを調整。計5種類の試作品を製作し、顧客の要望するトルク・耐久性を実現。打ち合わせは、すべてメールと電話で行ったが、顧客はアドバネクスの迅速な対応力を高く評価、当該トーションばね開発中に別途、押しばねを追加発注。

営業担当の声

電話とメールだけの打ち合わせでも、小まめに対応することでお客さまの信頼を得ることができました。

設計提案・試作は日本で、量産・納品はタイで

背景

タイでの生産を推進する上で、部品の調達も出来る限り現地化したい

当時、顧客は生産の拠点をタイへと移行しつつあり、よりいっそうのコストダウンを図るためには、使用する部品もなるべく現地で調達する体制の構築が急務であった。顧客のタイ工場からわずか500メートルの所にアドバネクスのタイ工場があったことから、顧客側からタイ工場で当該部品の量産化が可能かどうかの打診があり、同様にタイに工場を持つ競合他社とともに見積りの提示を求められた。

顧客リクエスト

高い技術力と価格対応力、そして開発スピード

デジタル一眼レフカメラ向けの部品ということで、前提として高い技術力を有すること。仕様の取り決めおよび価格は国内で決定し、量産のみタイで行うという体制実現のためには日本にきちんとした試作体制があり、その技術をタイと共有できる連携力が必須要件であった。また顧客特性として、開発に要するスピードが重要視され、設計変更に対しての迅速な対応力が求められた。

ソリューションと提案

顧客も大満足のスムーズさで現地量産体制へ

顧客が作成した図面を元に、郡山試作センターと柏崎工場が連携して対応。先ずは原理確認用の試作品を製作、顧客設計部が見極め、問題点を洗い出し精度を高めていった。図面変更はのべ10回を超えたが、その都度求められた迅速な対応に対して、郡山試作センターのクイックレスポンスがアドバネクスの大きなエッジとなった。原理試作品が完成し、量産化にあたっては図面をタイの技術スタッフへ送り、柏崎工場の技術スタッフがパイプ役となって詳細な説明を行った。現地の技術スタッフは全員タイ人であるが、柏崎での研修経験もあり、柏崎工場のスタッフがメールや電話により技術的なサポートを行うことでスムーズに量産化が可能となった。その背景として、柏崎工場とタイ工場に同じマシンを設置しているからであり、ワールドワイドで対応できる技術力がアドバネクスの強みであることを実証。

営業担当の声

お客さまからいただいた「非常に助かるよね」という言葉が、営業パーソンにとっての最高の勲章です。

小さなアイデアが15年のロングセラーを生んだ

背景

組み立て工程でのハンダの飛散がコスト効率を下げていた

基盤メーカーである顧客は外資系自動車メーカーにエアコンのコネクターを納めていた。彼らの悩みは、そのコネクターの組立工程で基板上の高価なチップにハンダが飛散することで不良品が増え、コスト効率が悪化することであった。

顧客リクエスト

ハンダの飛び散りを阻止するコネクターの開発

ハンダの飛び散りから、高価なチップを簡単に守る方法を開発して欲しい。

ソリューションと提案

技術者のひらめきとそれを実現できる技術力

ハンダが基盤に飛び散るのを防ぐにはカバーを付ければいい。だがそのカバーを効率的に付ける手立ては何か。それがソリューションへの鍵であった。ハンダ付けという手作業の工程の中で邪魔をすることなく基盤を保護し、ハンダ付け終了後部品を挿入する際にはスムーズに挿入でき、しかも挿入後は損傷しないことが必須要件。そのためには、カバーが柔軟に動く適度の切れ目の深さが必要であり、計算でも設計でもなく感覚的な判断が求められた。そしてその実用化には、アドバネクスのインサート2回成形という技術が活用された。結果としてこの成功事例が「発想力・提案力」の大切さを示す伝説としてアドバネクススタッフに語り継がれている。

営業担当の声

あれから15年以上も語り継がれる案件に立ち会えたことは、今でも誇りであり、指針となっています。

世界で初めての携帯電話内蔵アンテナを開発

背景

ワイヤーのばねで携帯電話の内蔵アンテナを作りたい

日本を代表する携帯電話のアンテナメーカーであった顧客から送られて来たのは、ワイヤーばねが小さく折り畳められている1枚のポンチ絵。2001年当時といえば携帯電話のアンテナはポップアップ式であったが、アンテナを内蔵すればより小型化が可能となりデザイン性も向上するとの狙いから、長いワイヤーばねを小さく畳んで、携帯電話の筐体内部に収納して、アンテナとして機能させるという発想が生まれていた。

顧客リクエスト

受信特性に優れたスパイラル形状を活かした携帯電話内蔵タイプのアンテナを、世界に先駆けて開発する。

当該商品は医療機関では恒常的に使用しているものでもあり、回収して修理することは不可能に近い。そのため一刻も早く全国の納品先を訪れ、クレーム箇所を改善して、レンズカバーが落ちない仕組みを講じなくてはいけない。そのためには顧客の担当営業マン自らが容易に修理できることが必須条件となり、当然ながら穴を開けるなどの加工を必要としないシンプルに既存物に付加することのみでの解決策を要望。もちろんコストも最小限に抑える必要があった。

ソリューションと提案

「ワイヤーから板へ」すべては発想の転換から始まった

ばね状のものを筐体に納めるために、樹脂のケースを試作して内蔵してみると、振動で巻きピッチが乱れ安定した電波受信ができないという問題が判明した。そこでアドバネクスのインサート成形技術者が発案したのが、受信に有利なスパイラル形状を活かしたプレス方法。このワイヤーばねから板ばねへの発想の転換が成功へのきっかけとなった。ポンチ絵をもとに顧客がハンドメイドで銅箔を切り樹脂に貼り付けて受信状態を測定すると、まずまずの好結果を得た。そこでアドバネクスとの協働でインサート成形可能な板ばねを試作。最終的に内蔵アンテナ向けとしては世界で初めてインサート成形技術を活用、実用化に成功した。成功のファクターは、アンテナ素子用プレス部品と実装用プレス部品の2枚のそれらを1部品化してインサート成形し、自動ライン化された次工程のプレス加工工程で不要な部分をカットすることで元の2部品に戻すというアドバネクスの発想の転換が、生産安定性を生み出した。

営業担当の声

「世界初の製品」の開発に携われ、しかも大ヒット。街でその携帯を見たときは感無量でした。

1分で設置可能なレンズカバーホルダーの開発

背景

医療機関でハロゲンランプのレンズカバー落下事故が発生

顧客は医療機器を製作するメーカー。納入した新製品の医療機関用の照明器=ハロゲンランプの樹脂レンズカバーが、熱により留め具が緩んで落下するという事故が発生。医療機関にとっては大事な患者さんの身体を傷つけることにもなりかねず、早急な改善を求められた。

顧客リクエスト

速やかに市場クレームを沈静化したい

当該商品は医療機関では恒常的に使用しているものでもあり、回収して修理することは不可能に近い。そのため一刻も早く全国の納品先を訪れ、クレーム箇所を改善して、レンズカバーが落ちない仕組みを講じなくてはいけない。そのためには顧客の担当営業パーソン自らが容易に修理できることが必須条件となり、当然ながら穴を開けるなどの加工を必要としないシンプルに既存物に付加することのみでの解決策を要望。もちろんコストも最小限に抑える必要があった。

ソリューションと提案

顧客も納得の試作2回、わずか3週間で対策品を納品

アドバネクスの担当営業は、事態が切迫していたため当該商品を持参した顧客を伴って郡山試作センターを訪れた。技術スタッフは、長年の経験から即座にハンドメイドによる試作品を製作することを選択。その場で製作した試作品を顧客が持ち帰り検討している間に、その試作品をベースに量産を見据えてマルチフォーミング用の設計図面を書き起こし準備を進めた。顧客からはデザインと取り付け性の改善が求められたが、数日後行われた顧客との2回目の打ち合わせでは指摘箇所を改善し、量産マシンで加工した試作品を提示。ほぼ顧客の満足するデザインと取り付け性であったため、最終的な微修正を加えただけで1週間後には対策品を納品。

営業担当の声

お客さまの課題解決への早道は、いかに迅速に最適なスタッフで対応するかということを実感しました。

NCマシンのスペシャリストにお任せください

背景

モデルチェンジまで1ヵ月。困った!適正荷重がみつからない

顧客は自動車向けの樹脂部品メーカー。納期まであと1ヵ月に迫っていたグローブボックスの最適な荷重設定が出来ずに、設計者は焦燥していた。そこでアドバネクスの営業担当とともに実際のグローブボックスを持参して郡山試作センターを訪れた。

顧客リクエスト

速やかにグローブボックスの適正な荷重計算を

重すぎても開かないし、軽すぎても振動で開いてしまう。試作を何度繰り返しても丁度良いグローブボックスの荷重がみつからない。何としても、あと1ヵ月と迫った納期の中で適正荷重を計算したい。

ソリューションと提案

NCマシンのスペシャリストがその場で対応、解決

郡山試作センターにはNCマシンのスペシャリストがいる。事前に送られてきた設計図面をもとに何パターンかの試作品を準備。来訪した顧客との1回目の打ち合わせの場で、NCマルチフォーミングマシンの利点を活かして、標準値を中心に前後1ニュートン単位で荷重調整されたバリエーションサンプルを提示。その場でほぼベストと思われる荷重を提示することができた。それを顧客は、持参した実際のグローブボックスに取り付けて持ち帰り、耐久試験を実施すると見事クリアー。その後、顧客より、工場での取り付けの際に切り口で指を怪我する危険性があるとの指摘があり、新たな設計図が作られたが、加工上難しい点があったため再度図面をアドバネクスより提案し、切り口の形状を改善することなどのトライ&エラーを重ねて、顧客の要望する期間内に無事納品。その後顧客との関係強化に結びついた。

営業担当の声

営業と技術スタッフの連携力で、ネバー ギブ アップ!決して「出来ない」とは言いません。

「ばねのこと全然分からないのですが、こんなばね出来ますか?」

背景

顧客はそれまでばねを使用しての製品づくりは未経験だった

顧客は北陸地方に本拠を置く工場設備メーカー。クリーンルーム内の空調制御用パーテーションにどうしてもばねが必要となった顧客は、ホームセンターで規格品のピアノ線製のばねを購入し、加工を重ねていたが納得のゆく成果を得られなかった。そこでWEB経由でアドバネクスに問い合わせをした。

顧客リクエスト

クリーンルームで使用する製品向けにばねを作って欲しい

顧客が加工したばねはピアノ線製であったため、錆びやすくクリーンルームでの使用には適さないことが判明。同様の仕様で錆びにくいステンレス製のばねを作りたい。

ソリューションと提案

問い合わせ1時間後に電話で打ち合わせ開始、わずか25日で納品

顧客はばね設計に関して未経験であったことから、問い合わせ1時間後には電話で打ち合わせを開始。材質をピアノ線からステンレス線に変更するため、大幅なばね設計の見直しが必要であったが、その後も対面での打ち合わせをせずに、電話とメールで、必要とされる荷重、スペックなどを確認しながら設計提案を行なった。提案図面を作成後、3回の試作で製品の完成度を高めていき、問い合わせから25日後には製品を納品。

営業担当の声

ばね設計未経験のお客さまにも、迅速かつ丁寧に対応することでご満足いただける製品を提供できました。

顧客の常識を覆した設計提案

背景

自動車メーカーでは調達部品のコストダウンが急務であった

顧客は東北地方を拠点とする重電メーカー。きっかけはコストダウン。部品調達の見直しを迫られることになった顧客より見積り依頼があった。指定された製品は、自動車のラジエターモーターに使用する左右類似形状の2個使いの板ばね。それまで類似品を製作依頼していた競合ばねメーカーのコストマネージメント力に限界を感じた末の依頼であった。

顧客リクエスト

高品質とコストダウン

自動車に使用される製品ゆえの高度な品質保証。そして製品単価の低減。

ソリューションと提案

大幅なコストダウンに成功、しかも金型代は従来のおおよそ半分に圧縮

アドバネクスは、それまでの競合他社のプレスマシンによる加工に対抗して、フォーミングマシンによる加工を採用することに決定。フォーミングマシンの利点として①「材料取りの無駄を削減することで材料費を節約できること」②「パーツ交換により、1型で左右類似形状品に対応できるため金型費の圧縮が可能である」という2点から、大幅に製品単価と金型代を低減できることをプレゼンテーションし、資材部による相見積りに勝利。しかしながら顧客にとってフォーミング加工は初めてのこともあり、不安を感じていた。そこで営業担当は技術者を同行し動画や写真を見せながらフォーミングの概略を解説。営業自らもマンガ絵を描いて材料費圧縮の仕組みなどを説明し、理論家肌の顧客技術担当者の信頼を勝ち取る。その後はスムーズに試作段階へと移行、微細な寸法調整などが終了し金型が完成した工程監査のタイミングで、顧客の品質担当者が柏崎工場に来訪、アドバネクスの品質担当者と最終調整をして量産化に至った。初めて工場でフォーミングマシンを目のあたりにした顧客は、設備や管理体制に驚嘆。アドバネクスへの信頼感をより深め、その後の別製品開発も進行中。

営業担当の声

発想力と技術力が両輪となって、お客さまの要望をすべてクリアーできた時の達成感は最高でした。

ばね計算Q&A

ばね計算 Q&A

線ばね

■共通

材料の選定方法について教えてください。

WEBばね計算プログラムで選べる材料は、大まかに分けると「ステンレス材」「鉄材」「銅材」の3つになります。
それぞれの材料特性は以下の通りです。

  • ステンレス材 錆に強く(錆びづらい)、最初に選定するのに最適な材料。
  • 鉄材 ステンレス材よりも耐久性能が良く、荷重も強めに出やすい材料。但し、錆が発生しやすいため、環境条件によりめっき処理が必要。
    (高温多湿、潤滑油やグリスを使用しない環境etc)
  • 銅材 導電性に優れた材料。主に接点部品や磁性を嫌う製品に使用されることが多い。
    軟らかい材料のため「ばね」として使用する場合、耐久性能が低く荷重も低めになる。
    また、錆や変色が発生し易いため、めっき処理が必要となる。
分類 材質 ばね性 耐食性 導通性 備考
ステンレス材 SUS304WPB おすすめ × SUS304WPBは市場性が良く耐食性に優れているため、一般的に使用されているステンレス材料。
低温環境下でも靭性の低下が極めて少ない。
SUS631J1-WPC 析出硬化処理により耐熱性を高めた材料。
市場性が低いため、調達に時間がかかる。
鉄材 SWB(60C) × ピアノ線と比較すると安価。
引張強さはSWP-Bを100%とした場合、SWB:76%・SWC:86%程度となる。
SWC(80C)
SWP-A SWP-Bは市場性が良く耐久性に優れているため、一般的に使用されている鉄材料。
引張強さはSWP-Bを100%とした場合、SWP-A:90%程度となる。
(SWP-Aは材料入手に時間がかかります)
SWP-B おすすめ
銅材 C5191W-H × × 一般的なばね用リン青銅。
導通性を重視する端子ばね等に使用される。
材料入手に時間がかかるため、別途お問い合わせください。
C1720W-3/4H ベリリウム銅は、導通性を重視する製品に使用される。
時効硬化処理により、荷重・耐久性はリン青銅に比べ高性能。
材料入手に時間がかかるため、別途お問い合わせください。

※上記以外の材料での設計も可能ですので、お問い合わせください。
※材質・市場性によっては最低発注数量・残材買取が発生する場合があります。
 その場合、設計相談・お見積の際に別途ご連絡させて頂きます。

最初に知っておきたい計算に必要な基礎知識

大きく分けて4つのポイントがあります。

ポイント1 荷重の増減に関して

  • 線径(d):太くするほど荷重が大きくなります。
  • 中心径(D)大きくするほど荷重が小さくなります。
  • 有効巻数(Na):多くするほど荷重が小さくなります。

【押しばねの場合】

  • 自由長(Hf):長くするほど荷重が大きくなります。(荷重高さが変わらない場合に限ります)

ポイント2 へたりと折損に関して
材料の許容応力に関係します。
指定荷重時に材料の持つ許容応力を超えた場合、へたり・折損が発生してきます。

ポイント3 へたり折損の解消法
①材料の変更もしくは、②線径を太くする方法があります。
①材料変更の場合、「SUS304WPB」よりも「SWP-B」の方が耐久性が高いため、同じ線径で解消できる場合があります。
 但し、荷重も増加するため注意が必要です。
②線径を太くすると許容応力が上がるため、解消につながります。
 但し、中心径も合わせて大きくする必要があります。

ポイント4 どこまで径を小さく(大きく)できるか
径の最大・最小の値はばね指数によって変わります。
ばね指数は 中心径(D)/線径(d)にて求めることができます。
中心径の求め方は下記の計算式となります。
 中心径(D)=内径(ID)+線径(d)=外径(OD)-線径(d)

加工可能なばね指数の値は下記の通りとなります。
 5≦ばね指数(D/d)≦24

もし、この数値以下(以上)になった場合はお問い合わせよりご連絡ください。

図面記号を教えてください。

図面記号はそれぞれ以下の通りとなります。

【押しばね・円錐コイルばね】

記号意味
ID内径
D中心径
OD外径
d線径
Nt総巻数
Na有効巻数
Hf自由長
Hs密着高さ
H荷重高さ
P荷重
D/dばね指数

【引きばね】

記号意味
ID内径
D中心径
OD外径
d線径
Na有効巻数
Lf自由長
L荷重高さ
P荷重
D/dばね指数

【ねじりコイルばね】

記号意味
ID内径
D中心径
OD外径
d線径
P荷重
N巻数
Θ0巻角度
Θ1・Θ2指定角度
D/dばね指数

耐久性能中の寿命回数ですが、これはどのような条件下での判定になるのでしょうか? 

お答えになっているかどうかは心配ですが、当社は極一般的な使用環境下での設計とさせて頂いておりますので、過酷な環境(高温・低温・腐食・振動・衝撃・サージング)の諸因子は考慮しておりません。

また、試験速度にも多くの因子が含まれる場合があります。

現に、2万回の計算値でも、現実には20万回もつケース又は、本当に2万回で折損した例もございます。

これは、極一般的な諸因子内での寿命試験ですが、それでも、これだけの差が発生するのは多くは材料の因子部分は否めず、それらは多角見地からの誤差でも有ります。

従って当社の計算は、JIS B 2704 JIS B 2709 に準じておりますので、踏まえてご検討の程を宜しくお願いします。

一般的にばね製作において、設計値に対するばらつきは10%と思いますが、御社のばね計算フォームではこのばらつきは考慮されているのでしょうか?されている場合、どのくらいのばらつきを想定されているのでしょう?

弊社の計算式には、ばらつき分は全く考慮しておりません。

しかし、ばねを図面通りに加工した場合に於いて、ストレート修正値等の置き換えた計算を実施して、実際のばねとの相関を取ってます。

また、想定されるばらつきの量ですが、ばねによっては全く異なり、具体的なばねの図面又は寸法や仕様条件をご連絡下されば、回答を差し上げますので、何なりとご一報下さい。

弊社にて検討しておりますばねを計算したところ、許容静荷重『へたり問題無し』、推定寿命回数『5万回迄期待出来る』との結果となりました。この場合、耐久を重ねても初期荷重からの荷重変化は起こらないと考えてよいものなのでしょうか?また、荷重が増減する場合、何%程度の変化が予想されますでしょうか?

許容静荷重と推定寿命回数は、基本的な考え方がございます。
生涯2,000回以下の繰り返しの場合は、静荷重。以上の場合は動荷重(寿命回数)を重視してください。

一般的には、静荷重は、ばねのへたりを確認し、動荷重は、ばねの折損を確認します。

今回のお問合せは、耐久を重ねても荷重変化は起きないのか?ですが、計算上(理論上)では、変化はないと考えます。
特にトーションばねは、巻き込む方向への撓みは、応力修正を必要としないために有利に働きます。 あくまでも計算上の定義であり、そのばねの材質・加工方法・低温焼鈍処理などで条件が悪くなることが多くありますので、生産される場合は確かな「ばねメーカー」にご依頼されることを推奨致します。

当社は、ISO9001を取得して、品質に対して万全を提供しており、ご信頼を頂けるものと確信しております。
どうぞご利用下さい。

■押しばね

座屈危険性の定義を教えてください。%は何に対することでしょうか?

日本規格協会の出版している「JISばねの規格」に、非常に複雑な計算式が発表されてます。
勿論、当社に図面の検討を依頼頂いた節は、その計算式で様々な診断をさせて頂いてますが、ホームページ上では、簡易的に座屈の危険性を「自由高さ÷中心コイル径」で「4」以上の場合に座屈の危険を呼びかけています。
逆に「0.8」未満の場合には、加工上で非常に困難が生ずる場合が有りますので、「過小」と判断させて頂いてます。

また、以上の数値は、すべてJISに準拠した値ですので、実際に加工が出来るかどうか?は、是非当社にお問合せ下さい。

それから、縦横比と座屈の関係は、圧縮ばねの支持状態でも全く異なります。

当社にお問合せ頂けた場合、上記の複雑な計算と共に、どこまで座屈しない高さにたわませられるのか?を診断しますので、お気軽にお連絡下さい。

押しばねの第一荷重、第二荷重の精度は、どの程度のものですか・・?
また、それにセッチングの方法とのかかわりは・・?

押しばねの場合、自由長から圧着高さまでの総たわみの間で、上下30%は定数が安定しないと言われております。つまり、その各30%の間で第一と第二荷重が設定されていますと精度が不安定になると考えます

また、材料の実線径も計算上の線径よりミクロン台で変移しますので、定数の振れが第一・第二荷重の精度にも影響いたします。
中心径や巻数の不安定さも同様に影響しますが、当社では逆に荷重に合わせて加工を行いますので、その際は、巻数や中心径に幾分かの公差を頂けると幸いです。

セッチングは、ばねに荷重を加えて、ある程度の永久変形を生じさせ、ばねの弾性限を高める操作を言います。 これにより、荷重を安定させる効果はあると思います。

以上の一般的な回答に成りましたが、ばねの係数(中心径÷線径)の値や、縦横率(自由長÷中心径)の値で、全てが変わって来ますので予めご理解頂けると幸いです。

■引きばね

引張りばね計算で、外形寸法指定でテンションを計算したいときに、どうして荷重指定が必要なのでしょうか?

引きばねは御存知の通り初張力が有ります。(無荷重状態でも密着している巻部分の線材はお互いにくっつき合おうとする力)同じ形状の引きばねでも、この初張力をある範囲内で変化させる事で、荷重の強さを変更できます。

このことから、お客様が設計中の製品のサイズに対して必要な荷重を出す為に、初張力をどれ位にしたらいいのか?

先に申しましたとおり、初張力もある範囲内での調整ですので、無限に強くしたり弱くする事は出来ませんので 実際にばねを製作するに当たり、加工可能かどうかの判断を検証する為にも荷重の指定が必要になってまいります。

引張りばね計算結果で、参考荷重値と現実荷重値とは、何を示しているのでしょうか?

簡単に申しますと、初張力も適正値であり無理なく作成できる製品、そのような製品の荷重を参考荷重と御考え下さい。

現実荷重は必要な荷重を得る為に初張力を強く、または弱くして荷重を満足する値にした場合の荷重です。

要するに現実荷重は実際に必要な荷重値、お客様が計算される際、荷重指定項目に入力される荷重の値です。

引きばねの荷重計算結果において、初張力適正評価が加工困難という結果が表示されました。これは現実荷重が表示されていても、作れないばねであるということなのでしょうか? 

引きばねを加工する場合計算上の初張力と実際に加工可能な初張力範囲が大抵異なります。
理想は、計算通り(100%)ですが、調整出来て20%〜200%と言われています。
しかし、300%程のハイテンションであれば、物によっては加工も可能ですので、その場合は御連絡願います。当方で検証をさせて頂きます。
あくまでも一般的な初張力比率の範囲で計算し、その結果をクールに明示しているのです。
是非、ご相談頂ければ、当社でも設計のお手伝いさせて頂きます。

■ねじりばね

トーショントルク計算結果のコイル部の高さとは?

当社の計算式では、このコイル部の高さとは、自由状態での高さではなく、最大巻込み時の高さを表しております。
つまり、2巻のトーションばねで線径がφ0.45の場合の自由状態では、コイル部の高さは「1.35mm」で、巻込み角度が180度の場合、0.45×(2+(180/360)+1)=1.575mmに成ります。

当方の説明不足の為に入力の際に良く勘違いされるケースで、巻数の入力時、「2.4巻」や「2.75巻」と入力され、その後「144度」や「270度」と巻角度を入力されるケースが有り、その場合には、自然状態(自由時)の巻数が、「2.8巻」や「3.5巻」と加算されてしまいます。

もしも、その様な勘違いをされている場合は、小数点以下の数値が無い(自然数1や2や3・・・・)数値を入力頂き、そこから巻き込んでいる分を巻角度のフィールドに入力してください。

上記の例の場合には、巻数「2」巻、巻角度「144」度及び「270」度として入力をお願いします。

その他の例:線径φ1.0mm、巻数10巻、巻角度90度、巻込角度180度の場合、自由時(自然状態)でのコイル部高さは、11.25mmとなり、最大巻込み時のコイル部の高さは、11.75mmとなります。

トーションばね計算のたわみ角度について(第一たわみ角度と第二たわみ角度は何を指すのか?)

お問い合わせの第一たわみ・第二たわみの件ですが下図を御参照願います。
図のような製品で申しますと、実線で書きました図が製品に何も負荷がかかっていない自由時の状態です。お客様の御使用状態で仮にAとBの位置までタワマせた時のモーメントないしは荷重が重要となると思いますが、このAまでの移動角度、Bまでの移動角度が「たわみ量」です。
モーメントが必要な値まで出ない・・・時は自由時の色々な方法が御座いますが、その一つとして自由時の巻角度を減らし(90度を減らす)たわみ量を増やす・・・と言うことになります。

ト−ションばね計算式について
A.曲げ応力を求める式はどの分を使用されているのでしょうか?
B.許容静荷重の基準はどこで判断されているのでしょう? 
C.推定寿命回数の判断基準は?

応力の計算式

巻込方向で使用する場合。




巻戻方向で使用する場合。



B.許容静荷重の基準
各鋼線のJIS引張強さ範囲の最小値に各係数を乗じてます。
C.推定寿命荷重の基準
上・下限応力係数(τmax 又は、τmin /σB )を求め、グットマン・ダイアグラムで導いてます。

ねじりばねには、巻き込みタイプと巻き戻しタイプが有ると思いますが、巻き戻しタイプの場合、荷重方向で欄を空欄にして、巻き角度に対するたわみ角度は、マイナス角度で入れるのでしょうか? 例えば、巻き角度(荷重無し状態)が0度でたわみ角が巻き戻し方向の場合など

計算の中で、第二たわみ角度を入力する下のところに、「荷重方向」の項目がございます。
そこにチェックを入れますと巻き込みタイプの計算となり、チェックを外しますと、巻き戻しタイプの計算が出来ます。即ち、お客様のお考えの通りで空欄で結構です。
しかし、既にこのチェックを空欄にする事で、たわみを入力した数値は巻き戻す方向での計算になりますので、マイナス入力は不要です。
また、巻角度に関しましては、コイル部の巻取角度とお考え下さい。

板ばね

材料の入手性はどこでわかりますか?

材質・板厚 有効一覧表」をご参照ください。
また、計算時には選択いただいた材質・板厚ごとに「材料入手性」欄に入手性が表示されます。

希望の材質がリストにありません。

リストにない材料でのご検討の場合には、別途、お問い合わせください。
お問い合わせはこちら

使用時の開口幅が1段階しかない場合にはどのように計算すればいいですか?

計算項目中の「使用開口幅①」に「初期開口幅」の値を入力し「使用開口幅②」には使用時の指定開口幅の値を入力して計算ください。
※この場合、初期開口幅⇔使用開口幅②間での使用イメージとなります。

希望の荷重値を満足できません。

設計の際には、以下を設計のヒントとしてご検討ください。

■荷重,応力と板厚,板幅,たわみ量の関係

板厚:荷重に対して3乗で効果がある
   応力に対して比例で効果がある
   (板厚0.5mm→0.8mmならば0.8^3 / 0.5^3 = 4.1倍の荷重が発生)

板幅:荷重に対して比例の効果がある
   全体が一定幅であれば応力は変化しない
   (板幅1.0mm→2.0mmならば2倍の荷重が発生)

たわみ量:荷重,応力に対して比例の効果がある
     (たわみ量1.0mm→2.0mmならば2倍の荷重が発生)

上記より、下記の手順での検討を推奨いたします。
①仕様上許容できる範囲で板幅を大きくとる
②寸法公差を考慮しつつ最低限必要なたわみ量を設定
③板厚を厚くしていき狙い荷重付近に合わせる
 (過大な応力が発生する場合は現在の形状では成立しない可能性が高い)
④たわみ量で微調整を行う

※なお、耐久性能面も考慮して設計の必要がございますので必ずしも実現する形状ではないこと、予めご了承ください。
 耐久性能面とのバランスを見ての設計が必要となります。

材料の調質はどのように選べばいいでしょうか。

調質によって材料の強度(引張強さや硬さ)といった性質が変化いたします。
材料の調質の分布については以下をご参照ください。

柔らかい

調質記号

硬い

1/2H

3/4H

H

EH

※材種によって調質の区分は異なります。
調質が柔らかい ⇒  加工性「○」 耐久性「△」
調質が硬い   ⇒  耐久性「○」 加工性「△」

上記のように調質によって加工性や耐久性が左右する可能性がございます。
ご参考の上、計算いただけますと幸いです。まずは、最も調質の柔らかいもの(1/2H 等)からご検討頂くことを推奨しております。

 

なお、フリーアクセスのお客様については調質は予め柔らかい調質を設定の上、計算しております。
お問い合わせいただきましたら耐久性能面などを考慮の上、他の調質での仕様などのご提案も可能です。

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